ルイ・ヴィトンを購入する前に「ヴィトンの革の種類を詳しく知りたい」と思う方もいるでしょう。ヴィトンにはラインごとに多様な種類の革素材があり、本革だけでなく、合成皮革素材（以下、合皮）も使われています。
この記事では、本革と合皮の違いを紹介したうえで、それぞれの種類や特徴、メリットを詳しく解説します。
また、取扱い上の注意点やお手入れ方法についても紹介しますので、あなたの好みやライフスタイルに合うヴィトンを選ぶ際の参考にしてみてください。
ブランド買取販売店「ギャラリーレア」で常務執行役員として勤務。高級時計、宝石の査定を得意とし、業界で15年以上の豊富な経験を持つ。
現在は「お客様にとっての特別な企業になる」という信念と共に、国内11の店舗を統括している。
目次
ヴィトンの本革と合皮で違いはある？
本革と合皮のどちらが良いかについては、好みや使うシーンに影響されるため、一概に言えません。「やはりヴィトンといえばモノグラム」と考える方もいますし、落ち着いた雰囲気を求めるならばダミエ、男性であればタイガ……など、さまざまなセレクトが可能です。
本革と合皮の違いについては、以下のようにまとめられます。
- 本革は表面がダメージを受けても、真皮があるため、独特の風合いをキープします
- 本革はアイテムごとに豊かな個性を演出しますが、合皮は比較的均一です
- どちらかといえば、合皮よりも本革のほうが変化を楽しめます
ヴィトンの合皮は質が高いため、一般的な合皮バッグよりも長く愛用できます。ただし、一旦上皮が剥がれてしまった場合は、やはり劣化が早まると考えられます。
より長く使えて、経年過程で魅せるオリジナルな質感や変化を楽しみたい場合は、本革をおすすめします。
続いてヴィトンの革の種類を紹介します。ラインによって多様な素材が提供されているため、迷ってしまうかもしれません！それぞれの革の特徴やメリット、デメリットを詳しく解説しますので、一緒に確認していきましょう。
ヴィトンの革素材：エピ
モノグラムやダミエではないヴィトンを手に入れたい方にとって、エピはさりげなくヴィトンをアピールできる種類といえるでしょう。
エピとはフランス語で「麦」を意味するとか。その名のとおり、まるで風に揺れる麦穂を表すかのような線状の型押しが印象的です。
非常にマットな質感をもち、上品な雰囲気を醸し出しています。シンプルで落ち着いた雰囲気をもつため、ビジネスの場でも活用しやすい種類といえるでしょう。
エピにはグレインレザーという、上質で厚めの牛革素材が使われており、優れた耐久性をもっています。また、線状の型押しによってシワが目立ちにくく、光の当たり具合で質感が変化することも魅力の一つです。
デメリットとしては過度な摩擦や水分に弱く、状況によって色落ちが生じる可能性がある点です。洋服に色が移るリスクがあるため、雨の日に使用する際は十分に注意しましょう。
ヴィトンの革素材：タイガ
エピが麦をイメージさせる素材であるのに対し、こちらのタイガはロシア語で「針葉樹林地帯」を意味しています。タイガは1993年にルイ・ヴィトンで初めてメンズラインとして発売されました。画像のとおり、より細かな技術が施されています。
カーフレザーの質感や光沢を保ちながら、肌にすうっと馴染みやすい点が特長です。これまでのヴィトン素材と異なり、クールな印象を演出しています。ファッションをシャープ、あるいはシックに決めたい場合に重宝する革素材です。
エピの耐久性より若干劣りますが、タイガも長く愛用できる革の種類となります。バッグの角が擦れたり、ほつれが生じたりするのを抑える効果があることもメリットです。
ただし、エピと同じように水に弱いため、服への色移りには注意しましょう。また、型崩れが起きやすい種類となるため、より丁寧に扱い、保管の際は詰め物をするなどの工夫が必要です。
ヴィトンの革素材：マヒナ
一般的にルイ・ヴィトンのモノグラムはプリント加工されたものですが、こちらのマヒナはパーフォレーション加工が施されている種類となります。パーフォレーションとは、生地自体にロゴや模様などを打ち込むパンチング技術を指します。
マヒナは2007年に誕生し、ヴィトンで初めて仔牛のソフトレザーが採用されたラインです。ちなみに、マヒナという名前は、ニュージーランドの先住民マリオ族の言葉「月の女神」に由来します。
きめが細かく、滑らかな風合いが特長です。革の厚さは薄めであり、あまり重さを感じさせず、女性が持ち歩くバッグとして活用しやすい種類といえるでしょう。
ただし、ほかの本革素材と同じように湿気や水分に弱いため、雨の日の使用は控えたほうがよさそうです。また、柔らかい素材のマヒナは、シワが付きやすい傾向があります。レザーの特長を長く保つためには、扱いや保管方法に留意しましょう。
ヴィトンの革素材：アンプラント
アンプラントのモノグラムは、ヴィトンのロゴを控えめに演出しています。2010年に誕生して以来、人気を集めており、トレンドに左右されることなく持てるバッグとして親しまれています。
アンプラントとはフランス語で「刻印」を意味するとか。高品質なカーフレザーにルイ・ヴィトンのモノグラムが型押しされています。ほかのラインと異なり、ヴィトンと認識しにくいため、「いかにもヴィトン」と思われたくない方に最適かもしれません。
メリットは上質のレザーが醸し出す高級感です。特有の柔らかさは、使い込むうちにツヤが増し、風合いの変化を楽しめます。手に馴染む質感は、毎日の活動や仕事のお供に手放せない要素となるでしょう。
購入時とは異なる雰囲気をじっくり楽しみたい方には適していますが、新品の状態をいつまでも保っていたい方にはあまりおすすめできません。また、アンプラントの柔らかさは使い方を間違えるとキズを生じさせたり、想定以上の劣化を招いたりする可能性があります。この点を考慮して購入を検討してみてくださいね。
ヴィトンの革素材：トリヨン
トリヨンレザーは、牡牛のキップスキンであり、生後半年から1年までの牛の革を採用しています。仔牛革は表面がきめ細かで、キズも付きにくい素材です。生後半年以内の仔牛革で作られる「カーフレザー」と比べて革が厚く、高い強度を保っています。そのため、使用頻度が高いバッグや革小物などのアイテムに使われます。
また、光に対する色あせにも強く、色移りに関しては比較的心配のいらない種類です。堅牢性の高い素材として、最高ランクに位置しています。また、発色が美しく、定番のブラックやホワイトのほか、黄色や青などカラー展開が豊富であることから人気の高い種類となっています。
難点といえば、革に厚みがあり、キャンバス素材に比べて重いことです。バッグに多くのアイテムを入れると、さらにずっしりと重く感じられる可能性があります。購入の際は、実際に手に取り、普段使うバッグとの差を確認してみることをおすすめします。
ヴィトンの革素材：ヴェルニ
1998年に登場したヴェルニは、ルイ・ヴィトンのファッションショーに合わせて作られました。当時のアーティスティック・ディレクターであった、マーク・ジェイコブスが考案したものといわれます。
カーフスキンで作られたヴェルニは、防キズ性が高く柔らかい素材であり、薄めで軽さを感じられます。カラフルなエナメルコーティングとモノグラム・モチーフの型押し加工が施されたヴェルニ。その色彩美が女性の心を魅了しています。いかにも革製品といったイメ―ジを取り除いたのもヴェルニの特徴といえるでしょう。
ヴェルニは、普段のファッションに明るさやポップなイメージを添えたい場合に、重宝するバッグとして長く愛用していただけます。
ただし、エナメル加工を施しているため、乾燥した時期にはひび割れが生じてしまう可能性があります。また、湿気の多い場所に保管するとエナメルがべたついたり、変色が生じたりすることもあるため、注意が必要です。
ヴィトンの革以外の素材：モノグラム
ヴィトンの種類のなかで人気がある「モノグラム・キャンバス」は、1896年に2代目ジョルジュ・ヴィトンによって誕生しました。ルイ・ヴィトンのイニシャルLとV、花と星をモチーフとして規則的なパターンを描くモノグラムは当時として革新的でした。
ヴィトンのモノグラムが、実は日本にゆかりがあることをご存じでしょうか。モノグラムは薩摩藩島津家の家紋が由来とされています。1867年開催のパリ万博に日本から島津家の家紋を出品したのが起源とか。その事実を知れば、日本人としてますますモノグラムに夢中になってしまうかもしれませんね。
なかでも人気の定番ヴィトンは、ダークブラウン生地にベージュ模様を描くモノグラム。日常使いしやすく、オンオフ問わず活用できます。カジュアルスタイルにもさりげなく取り入れることで、全体の印象をスタイリッシュにしてくれるのもメリット！
また、モノグラムは上質のトアル生地（エジプト綿の生地に塩化ビニールのコーティング加工が施されたもの）で作られており、耐久性が高く、お手入れがしやすい点も魅力です。レザーと比べて軽く、しかも水や湿気、薬品に強い耐性をもっています。
デメリットは通気性があまりなく、熱に弱い点です。また、頻繁に使うことで、いずれは剥がれが生じる可能性がある点は承知しておきましょう。
ヴィトンの革以外の素材：ダミエ
ダミエはルイ・ヴィトンの代表的な柄の一つであり、1888年に誕生しました。こちらも日本の市松模様から着想を得ています。
落ち着いた印象で男女問わず支持される種類であり、日本人にも親しみやすいデザインといえるでしょう。市松模様は、昨今人気のアニメにも採用されていますよね。
ダミエ・キャンパスも綿素材に特殊コーティング加工を施したもので、一見牛革に見えますが、本革よりも軽量であり、防水性を兼ね備えています。また、水や薬品に強いため、日常的に使いやすく、メンテナンスのしやすさもメリットと考えられます。
しかし、本革と比較すると高級感や質感にもの足りなさを感じる方がいるかもしれません。質感や手触りなどを直に確かめるのは難しい場合もありますが、素材の特長やデメリットを考慮し、あなたにとって一番馴染むであろう素材を選んでみてくださいね。
ヴィトンのヌメ革について
ヴィトンのヌメ革は植物にある「タンニン」といった成分を使っており、牛の皮をなめし、型押し加工をおこなわずに仕上げた素材です。ちなみに、なめす前が「皮」であり、なめした後に「革」となります。
ちなみに、ヌメ革はモノグラムやダミエの持ち手やパイピング（縁を囲む部分）に使われています。以下にヌメ革の特長を紹介します。
-
- 天然皮革にあるシワやすじなどがそのまま残っています
- ほかの革素材と比べて丈夫で破れにくい特長があります
- 使い込むうちに、独特の柔らかい風合いを楽しめます
ヴィトンのヌメ革は、その耐久性から頻繁に使われるバッグや財布などのアイテムに適しています。使い始めは、若干ゴワゴワした印象をもつかもしれません。しかし、使い込むうちに手に馴染み、白っぽい色から濃いめのカラーに変わっていく過程を楽しめます。
ただし、ヌメ革は水分や油分を吸収し、シミになりやすいのが難点です。ほかの種類も耐水性に弱い側面がありますが、ヌメ革はさらに弱く、シミや色落ち、洋服への色移り、場合によってはカビの発生にもつながるかもしれません。
雨に濡れてしまってそのままにしておくと、シミになる可能性が高まるため、適切なお手入れをおこないましょう。
ヌメ革のヴィトンを使う場合は、以下のポイントを念頭におくことをおすすめします。
- 使用する前に日光に当てる
- ヌメ革にクリームや防水スプレーを塗布する
- 基本的には雨の日は使わないようにする
- 使用後は乾いた柔らかい布で拭く
- ちょっとした汚れを優しく拭き取る
万が一濡れてしまった場合は、毛羽立っていない吸水性の柔らかい白布でふきましょう。クリームの使用も慎重におこなう必要があります。その理由は革が変色する可能性があるためです。
以上のお手入れ方法を参考にして、ヴィトンをより長く使えるように工夫することが重要です。もしも心配な場合は、直接店舗スタッフにお手入れ方法をたずねたり、通販サイトのお問い合わせに連絡してアドバイスをもらったりすることをおすすめします。
ヴィトンの本革のお手入れ方法は？
ヴィトンの本革は使い込むうちに、風合いが柔らかく、あるいは自然な光沢が生まれてきます。これらは天然皮革ならではの醍醐味であり、使ううちに馴染じんでいく過程に魅力を感じることでしょう。
以下にお手入れ方法について簡単にまとめました。
- 馬毛ブラシで汚れを取り除く（ブラシがない場合は乾拭きでOK）
- 革製品用のクリームを塗る（少量から試しながらおこなう）
- 陰干ししてクリームを馴染ませる（クリームを使わなくても陰干しは重要）
- きれいな布などで乾拭きして余分な油分を取り除く
ヴィトンのバッグは、革の種類によって柔らかさが異なります。形状を保つためには、普段から中にモノを詰め込みすぎないように注意が必要です。また、保管の際は付属の袋に入れて、風通しの良い場所に保管しましょう。
ヴィトンの本革以外（PVC）のお手入れ方法は？
モノグラム・ダミエなどの本革以外のお手入れ方法について紹介します。
- 柔らかいブラシで汚れやゴミを取り除く
- 衣類用洗剤を薄めたぬるま湯に布を浸してバッグの汚れを落とす
- 汚れを落としたのちに、乾いたきれいな布で拭く
- 陰干しする
モノグラムやダミエなどの汚れやゴミを取り除く際、表面にキズが付かないように注意しましょう。また、湿らせた布で拭く際は、ポンポンと優しくたたくようにして汚れを取ります。
以上の点を考慮して、大切なヴィトンを長く愛用するためにも、日ごろのお手入れをしっかりおこなっていきましょう。
ヴィトンの革の種類についてまとめ
まとめ
- ヴィトンの革には本革と合成皮革がある
- 本革には多様な種類があり、模様や光沢、柔らかさなどに違いがある
- 合成皮革のモノグラムやダミエは高品質のトアル生地で作られている
- 本革と合皮とも長く愛用できるが、本革のほうが経年変化を楽しめる
- 革の種類に合わせたお手入れ方法を用いて、汚れを取り、湿気と型崩れから守ることが大切
ヴィトンに憧れる女性のなかには、定番ヴィトンであるモノグラムやダミエを手にしたいと考える方もいるでしょう。合成皮革でありながら、上質のトアル生地を採用したモノグラムやダミエは、本革同様に長く使える素材です。
ただし、使い込むほどに、光沢や柔らかさなどの変化を楽しみたい方や大人の印象を醸し出したい方にとっては、本革のヴィトンをおすすめします。
この記事で紹介した革素材のメリットとデメリットを考慮しつつ、あなたの好みやファッションスタイルに合うヴィトンを見つけてみてくださいね。
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